株式会社ハタプロ

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ニュースリリース

2018年06月15日
株式会社ハタプロ

LoRaWANによるスマート水道メーター遠隔検針実験に成功

~LPWA通信により水道検針業務の効率化に貢献~

 株式会社NTTドコモと共同で39Meister事業を運営する株式会社ハタプロ(本社:東京都港区、代表取締役:伊澤 諒太、以下ハタプロ)と、長野県大町市、株式会社ケイ・オプティコム(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:藤野 隆雄、以下ケイ・オプティコム)、株式会社グリーンハウス(本社:東京都渋谷区、代表取締役:小沢 武史、以下グリーンハウス)は共同で、水道メーター検針を遠隔で行うための実験を、LPWA方式のひとつであるLoRaWANを利用して実施いたしました。その結果、大町市内の3軒の実際の住居におけるデジタル水道メーターの検針データを、大町市役所本庁舎に対してLPWA通信によって長距離伝送を行うことに成功し、水道メーター検針の遠隔化が可能であることを確認いたしました。

■背景 長野県大町市は、住居や集落が北アルプスの山中にも点在しており、さらに冬季には多くの雪が積もります。そのため、水道をお使いの各家庭まで訪問し、目視で行ってきた水道メーターの検針作業はこれまで多くの労力と時間を必要としていました。
今回、39Meisterでは、デジタル水道メーターの検針データをLPWA通信によって送信する機器を新たに開発いたしました。このスマート水道メーターからの検針データは、ほぼリアルタイムで大町市役所に送られます。実験では、実際の住居3か所において、既存水道メーターと置き換える形でスマート水道メータを新設し、さらにデータ伝送のためにケイ・オプティコムが開発したLoRaWANゲートウェイとプラットフォームを使用し、LoRaWANネットワークを各住居と大町市役所との間に構築いたしました。これにより、各家庭における水道の使用状況を遠隔にて常時監視することが可能であることを確認いたしました。水道メーターは地中に埋められていることも多く、今回の実験でも地中にスマート水道メーターを設置した状態での実験でしたが、最適な通信条件を設定することで、気象条件等にも左右されることなく安定した通信が可能となりました。また、冬季にはスマート水道メーターの設置部分に対して積雪がありましたが、その間でも通信品質に大きな影響がありませんでした。
リアルタイムに水道の利用状況が分かる利点を活かし、水道利用量の見える化による各家庭への節水の動機づけや、一人暮らしの高齢者のゆるやかな見守りサービスなど、本実験結果を応用するサービスも期待することができます。

 今回の検証に際し39Meisterチームはオープンイノベーションの一環として、リーン型開発手法※を導入したハードウェアの設計・開発技術と、ケイ・オプティコムのLoRaWANネットワーク構築技術、グリーンハウスのLoRaWANモジュール搭載デバイス開発のノウハウを融合し、長野県大町市と共同で課題解決に取り組みました。 ※リーン型開発手法とは、市場のニーズを探りながら仮説検証を繰り返し、短期に開発を進める手法になります。

■実験概要
・場所
長野県大町市 大町地区・平地区・常盤地区・社地区
※セキュリティ上の理由で 施設の詳細概要については非公表

・実施期間
2017年12月~2018年3月

・使用機器等
LPWAスマート水道メーター、LPWAゲートウェイ装置、水道検針データ管理ツール

・実験結果
下記について確認いたしました。

1 水道検針データを送る水道メーターの安定動作
デジタル式水道メータの検針データをLPWA方式で送信するために、最適なデータ処理を行う機能を持ったLPWAデバイスを新たに開発いたしました。電源が無い場所において長期の動作を実現するために大容量のバッテリを搭載し、さらに厳しい気象条件等の中でも動作するよう防水・耐水型のボディを採用しております。 本スマート水道メータが実際の住居に設置された状態で、長期に渡り正しく水道メータの検針データを送信し続けることを確認いたしました。

2 LoRaWAN通信による各住居との安定通信
住居に設置したスマート水道メーターと、大町市役所本庁舎に設置したゲートウェイ受信装置とをLoRaWAN方式で接続し、実際の水道検針データをほぼリアルタイムに送信し続けました。それぞれスマート水道メーターは地中に埋められた状態の上、開閉式の上蓋でさえぎられている環境下でしたが、最大約1kmの間を長期に渡り安定して通信いたしました。実験期間中、上部に積雪がありましたが、その間も検針データの送信を滞りなく行うことに成功しました。

3 水道使用状況の可視化と管理
各住居における水道の利用状況を確認するためのケイ・オプティコムが提供したクラウドシステムにより、大町市役所において複数の水道メーターの検針データを一括管理することができました。これにより、水道メーターの検針業務の効率化が図れるだけでなく、日々の水道使用量をみえる化することで、水道の使い過ぎや未使用時の異常検知機能などを組み合わせることで、水道データを起点とした新たな市民サービスの開発を行うことに目途を立てることができました。

写真左:スマート水道メーター
写真中央:ゲートウェイ装置(右上)
写真右:水道利用量管理ツール

■LPWAとは
 Low Power, Wide Area の略称であり、日本においては免許不要な920MHz帯域における通信方式として注目されています。特徴として、長距離通信が可能であること、通信モジュールの低消費電力化が可能であることが挙げられています。特定のエリアにおいてローカル通信を行う用途に加え、インフラ型でネットワークを構築するモデルも提案されており、特にIoTの分野で今後急速に発展が見込まれる通信方式です。

■LoRa/LoRaWANとは
 「LoRa/LoRaWAN」は、LPWA規格のひとつであり、「LoRa Alliance」にて仕様策定が進められているグローバルな通信規格です。オープンな規格であることから、事業者にとっては機器開発やネットワーク構築への参入障壁が低いと言われていますが、実際には日本国内における電波法やARIBへの対応など、商用化に際して特別なノウハウを必要としています。

■長野県大町市について
長野県の北西部、白馬村の南に位置している。西部一帯に日本の屋根といわれる3,000m級の北アルプスの山々を連ねており、その山々からの湧水を源流とする高瀬川や仁科三湖など、豊富な自然資源に囲まれた山岳観光都市です。

■39Meisterについて
 「39Meister」は、株式会社ハタプロと株式会社NTTドコモによるジョイントベンチャー事業です。法人企業やベンチャー企業におけるIoTプロダクトの企画から量産までの事業化を支援しています。独自に開発した「リーン型プロダクト開発手法」を導入し、最適な仕様策定、高速なプロトタイピング、知的財産や事業計画のアドバイス、最終製品の適量生産を実現しています。ハタプロが培ったハードウェアの企画・設計・市場投入のノウハウと、NTTドコモが実践してきた知見や研究開発で蓄積したクラウド技術を融合し、新たなIoTプロダクトの事業化支援と、ものづくり産業の活性化に取り組んでいます。( https://39meister.jp/ )

■ケイ・オプティコムについて
  ケイ・オプティコムは、関西一円の光ネットワークを基盤として、インターネット・電話・テレビをはじめとした高品質な通信サービスと便利で快適な携帯電話サービスを提供するなど、総合的な情報通信事業を推進しています。
ケイ・オプティコムは、広域でのデータ収集や遠隔での機器制御等に対応する、LPWA無線技術(LoRa方式)を活用したIoTサービスを開発し、2017年7月より、お客さまにてIoT導入による効果検証等を簡単かつ安価に実施できる実証環境をご用意するためのPoCサービスの提供を開始しています。PoCサービスの提供を通じて、IoTに求められる機能等の技術検証をさらに進めるとともに、IoTのニーズやビジネス性の検証を行い、2018年度に本格展開することを目指して取り組んでまいります。

■グリーンハウスについて パソコン周辺機器を中心に、映像・オーディオ関連機器やIoTソリューションをはじめ、キッチングッズ、セールスプロモーション向け製品やOEM製品など、幅広い分野の製品を取り扱う電子機器の総合メーカーです。 グリーンハウスの無線モジュールは、自社開発だからこそ実現できる高品質と対応力で様々な分野に提供しています。今回水道メーターのデータ送信に利用したLPWA送信機には、当社のLoRaWANモジュール「RM-92AS」が搭載されております。 (https://www.green-house.co.jp/products/rm-92as/)

※このプレスリリースに記載されている会社名、製品名、規格名、仕様名、ブランド名、およびサービス名は、各社の登録商標または商標です。

■各社概要
【株式会社ハタプロ】
会社名:株式会社ハタプロ
代表者:代表取締役 伊澤 諒太
所在地:東京都港区赤坂2-16-6
営業開始:2010年11月8日
主な事業内容:
IoT/ビッグデータ時代に向けたハードウェアの開発と人工知能(AI)による分析予測のソリューションを提供。株式会社NTTドコモとのジョイントベンチャー事業 39Meisterを通じてIoTプロダクトのインキュベーションを行い、同時にLPWA技術を商用展開。

【長野県大町市】
市長:牛越 徹
所在地:長野県大町市大町3887
人口:28,041人(平成27年10月1日現在国勢調査人口)
主な産業:建設業、製造業(水資源産業)、観光業、電力業(自然エネルギー)

【株式会社ケイ・オプティコム】
会社名:株式会社ケイ・オプティコム
代表者:代表取締役社長 藤野 隆雄
所在地:大阪市中央区城見2丁目1番5号 ケイ・オプティコムビル
設立日:1988年4月2日
主な事業内容:
電気通信事業 有線一般放送事業 小売電気事業
電気通信および有線一般放送に関する機械器具および設備の設計、設置、販売、割賦販売、賃貸および保守、運用

【株式会社グリーンハウス】
会社名:株式会社グリーンハウス
代表者:代表取締役 小沢 武史
所在地:東京都渋谷区恵比寿1-19-15 ウノサワ東急ビル5階
設立日:1991年6月
主な事業内容:
パソコン・スマートフォン関連機器、映像・オーディオ関連機器、キッチン・ライフスタイル関連機器の企画・製造・販売と、ノベルティやデジタルサイネージなどのセールスプロモーション関連製品、無線機器(IoT)、組み込みシステム向けOEM製品の開発・提供。

※各ニュースの記載内容は発表日現在のものです。
その後予告なしに変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。